前田せんせより
山田さんの疑問はよく分かります。さてここで考えてみましょう。
「催眠状態を実感する」とはどういうことでしょうか?
催眠は心の内的体験・状態です。「私は家族を愛している」とか「私は仕事に誇りを持っている」と言う評価と同じですから「確かにそう思う」とか「そうとは感じない」とは言えても、その存在や根拠を客観的に証明することはできないのです。どのような心理状態でも現在の自分は「普通であり」すべてのことは「当たり前」と感じます。不安に思われるのも無理はないと思いますが、現在お持ちの感想・体験を催眠心理療法で解釈すると次のようなことが起こっていると考えられます。
どうぞ安心して徐々に現れる結果を楽しみになさってください。
| ○特に意識しなくても昔の懐かしい記憶が浮かんで来る → |
好ましい記憶退行が起き、無意識が記憶を活用し始めている |
| ○身体が重く手や足が動かない、動こうという気がしない → |
意志・意識が心と身体の欲求を理解し受け止め始めている |
| ○気持ちが軽く楽になる。問題があまり気にならなくなる → |
無意識のうちに注意や感情が望ましい方向に向き始めている |
尚、深い催眠状態に入らないと改善効果がないという根拠はありません。(ショー催眠などの不自然な効果は別ですが)これについては催眠療法協会創始者のA.M.クラズナー博士の著書でも、催眠療法を承認している米国医師会でも同様の説を支持しています。
また、催眠の深度にも何種類もの分類法があって、まだ研究者の間でも統一基準はありません。私の臨床経験でも、誘導直後の浅い催眠の状態でもまったく身体が動かせない方もおられましたし、かなり深い催眠状態で記憶を退行している時に、質問しているこちらが驚くほど早口でハッキリと返事をされた方もおられました。これらの事実から判断しても、誘導されにくいとか催眠が浅いから催眠療法の効果がないという考えには科学的な根拠がないことが分かります。
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