出発した特急電車の中、これで私に起こってることは良くなるんだよね?催眠療法ってインチキじゃないよねって自問自答しているうちに大阪についた。
それからは前日復習したルートをたどることで頭が一杯。
バスが先生のお宅に近づくにつれ怖い・逃げて帰りたいと心臓がバクバク、胸は余計に酸素を吸うので手には一杯の汗だった。
かすかに残っている勇気を振り絞り部屋のチャイムを押す。
携帯で時間を確認すると20分ほど予約時間より早かった。
しばらくしてからドアホーン越しに先生の声。低い落ち着いた声でまずホッとする。ドアが開く。
中から神社の狛犬を優しくしたような顔が出迎えてくれた。 「Mさん。いらっしゃい。前にお一人、急に来られたのでまだ準備をしてないんだけど…。」
玄関には履きなれた靴が2〜3足ありごく普通の家庭の匂いがした。(当時は自宅の一室がオフィスでした)
ここに住んでんだなと思いつつ中に入る。玄関脇の洗面所を通り過ぎ白いドアを開けると目の前にパソコン一式セット様がけして広いとはいえない部屋にドーンと鎮座していた。
先生は「今日から助手が夏休みでね。頂いた依頼メールを探すにも少し時間がかかって」と言いつつパソコンに斜めに対面するソファーに腰をかけるよう勧められた。
先生はパチパチと慣れた手つきでメールを呼び出しているが「あ。こりゃ返信したほうやった。」と慌てている。そのしぐさを見ていて野師だったら儲かってるはずだがこりゃ本物かもしれないなとなんか落ち着いた。
やっとメールが出てきて「あっ。注射が苦手になった看護婦さんね。」と先生一人で納得。
まず潜在意識についてのレクチャーを受ける。
「例えば指先を切ったとします。痛いと感じるのは指で判断してるわけではないのはご存知ですね。指を切ったという情報が神経を伝って脳にいく。脳は神経からの電話で『そうか。指切ったんか。そりゃ痛そうやな。血出てるんか。大変やんか!』と痛みの指令を出すけど、たまに誤報もある。
悪い魔法にかけられたように、なんでもないことや習慣化したことが突然苦手になったり出来なくなる。
肉体的に原因が無い場合には何でそうなったかは本人にもわからないので困ってしまうけど一人だけ原因を知っているのが潜在意識です」話を聞いて悪い魔法というのと脳への直通電話の喩えが気に入った。
知っている看護婦さんなら大声で「上手い、座布団一枚!」と叫んだだろう。
そして潜在意識に原因を聞くためには理性が邪魔しない催眠状態で直接働きかけるのがいいのだと話してくれる。
次は催眠療法の「はーい。あなたは眠くなる」などの誤解を振り払うレクチャーや催眠療法の実際の誘導方法を教えてくれた。 そしてプレ催眠。何も持っていないのに先生の声のイメージどおりに分厚い本を片手に持ってとても重くなり手が下がってしまうなどの催眠の体験をして催眠療法が始まった。 |